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軽量鉄骨造の防音性は低いの?特徴や自分でできる対策をご紹介
「軽量鉄骨造の物件は、防音性が低いって本当?」
賃貸物件を探す際によく聞く話ですが、実際はどうなのでしょうか。
軽量鉄骨造は、木造住宅よりも耐震性や耐火性に優れているというメリットがある一方で、防音性については低いという声も耳にするかもしれません。
この記事では、軽量鉄骨造の防音性について、その特徴やメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
さらに、物件選びの際に騒音トラブルを回避するためのポイントや、入居後に自分でできる防音対策についてもご紹介します。
軽量鉄骨造の物件に住もうか迷っている方や、騒音に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
軽量鉄骨造の物件とは?
軽量鉄骨造とは、厚さ6mm未満の軽量な鉄骨を主要な構造材として組み立てられた建物のことを指します。
主に、アパートやマンションなどの集合住宅で多く用いられています。
軽量鉄骨造は、工場で柱や梁などの部材をあらかじめ製造し、現場で組み立てる工法のため、工期が短く、コストを抑えられるというメリットがあります。
また、木造住宅と比較して、耐火性や耐震性に優れている点も特徴です。
軽量鉄骨造の構造は、柱と梁で建物を支えるラーメン構造が一般的です。
この構造は、空間を広く取ることができるため、自由度の高い間取り設計が可能となります。
軽量鉄骨造は、鉄骨の厚さが6mm未満と定義されているため、鉄筋コンクリート造と比較すると、建物の重量が軽く、地盤への負担が少ないという利点もあります。
しかし、軽量であるがゆえに、遮音性や断熱性が低いという側面も持ち合わせています。
軽量鉄骨造の防音性は低い?
結論からお伝えすると、軽量鉄骨造の防音性は、他の構造と比較して低い傾向にあります。
木造住宅と比較すると、軽量鉄骨造は柱や梁に鉄骨を使用するため、気密性が高く、防音性もやや優れていると言えます。
しかし、鉄筋コンクリート造と比較すると、壁の厚さや構造の違いから、どうしても防音性で見劣りしてしまいます。
鉄筋コンクリート造は、コンクリート内部に鉄筋を組み込んでおり、重量があるため、音が伝わりにくい構造です。
軽量鉄骨造の場合、柱や梁などの構造体は鉄骨ですが、壁の多くは軽量鉄骨の間に断熱材を挟んだボードで構成されています。
そのため、外部からの音や生活音が伝わりやすく、特に高音域の音が響きやすいという特徴があります。
ただし、軽量鉄骨造だからといって、必ずしも防音性が低いと決めつけることはできません。最近では、防音性能に優れた建材が開発されており、建築時に工夫を凝らすことで、ある程度の防音性を確保することが可能です。
軽量鉄骨造のメリット
軽量鉄骨造は、木造住宅よりも耐震性や耐火性に優れている点、鉄筋コンクリート造よりも建築コストを抑えられる点などから、賃貸アパートやマンションにおいて多く採用されています。
ここでは、軽量鉄骨造のメリットとして、木造住宅と比較したときのメリットを解説していきます。
木造より防音性・耐震性が高い
軽量鉄骨造は、木造住宅と比較して、防音性と耐震性に優れているという特徴があります。
木造住宅の場合、柱や梁などの構造材に木材を使用するため、音や振動が伝わりやすいという側面があります。
一方、軽量鉄骨造では、構造材に鉄骨を使用します。鉄骨は木材よりも密度が高く、音や振動を伝えにくい性質を持っています。そのため、外部からの騒音や生活音などを軽減できるという点で、木造住宅よりも優れていると言えるでしょう。
また、鉄骨は木材よりも強度が高いため、地震の揺れにも強いというメリットがあります。地震の揺れエネルギーを吸収し、建物全体の倒壊や変形を防ぎます。木造住宅でも耐震性を高めるための技術は進化していますが、構造材の強度という点では、軽量鉄骨造が有利と言えるでしょう。
比較的家賃が安い傾向にある
軽量鉄骨造は、木造住宅と比較して建築コストが抑えられる傾向にあります。
鉄骨は工場で規格生産されるため、材料費や人件費を抑えられることが理由として挙げられます。
また、工期も短縮できるため、その分の人件費も抑えられます。
これらのことから、軽量鉄骨造は木造住宅よりも建築コストが抑えられるため、賃貸物件の場合、家賃も比較的安価に設定されることが多いです。
ただし、家賃は立地や築年数、間取り、設備などによっても大きく変動します。
軽量鉄骨造だからといって、必ずしも家賃が安いとは限りませんので注意が必要です。
軽量鉄骨造のデメリット
軽量鉄骨造は、木造よりも耐震性や防音性に優れている点はメリットですが、一方で断熱性や通気性が低いというデメリットがあります。
2つのデメリットについてご紹介します。
断熱性や通気性が低い
軽量鉄骨造は、木造に比べて気密性が高いという特徴があります。これは、建物の構造上、どうしても隙間が生じやすい木造と比較して、鉄骨構造に気密性の高い建材を組み合わせることができるためです。
気密性が高いことは、冷暖房効率の向上に繋がるメリットがあります。しかし、同時に、適切な換気が行われないと、室内の空気が滞り、湿気がこもりやすくなってしまいます。湿気が多い状態が続くと、結露が発生しやすくなり、カビやダニの発生原因にも繋がりかねません。
また、断熱性に関しても、鉄骨自体は熱を伝えやすい素材であるため、木造住宅と比べると断熱性が低くなってしまう傾向があります。断熱材を適切に施工することで改善できますが、断熱材の種類や厚みが不足していると、夏は暑く、冬は寒く感じてしまう可能性があります。
鉄筋コンクリート造よりは耐震性・防音性に劣る
軽量鉄骨造は、木造住宅と比較すると耐震性や防音性に優れている点がメリットとして挙げられます。しかし、鉄筋コンクリート造と比較すると、耐震性と防音性の面では劣ってしまうのが現状です。
鉄筋コンクリート造は、鉄筋とコンクリートという強度が高い素材を組み合わせることで、強固な構造を作り出しています。そのため、地震の揺れや外部からの音の影響を受けにくいという特徴があります。
一方、軽量鉄骨造は、鉄筋コンクリート造と比較すると、建物の構造体として用いる鉄骨の厚みが薄いため、どうしても強度が劣ってしまいます。結果として、鉄筋コンクリート造よりも地震の揺れや外部からの音の影響を受けやすくなってしまいます。
軽量鉄骨造で騒音トラブルを回避する対策
軽量鉄骨造の住宅に住むことを検討する際、快適な暮らしを守るためには、入居前に騒音に関する対策を講じることが重要です。
具体的な対策について3つご紹介します。
物件を決める前に周辺状況を確認する
軽量鉄骨造の物件に住む場合、構造上の特性から周囲の環境による騒音の影響を受けやすい可能性があります。
快適な生活を送るためには、物件を決める前に周辺環境の確認を入念に行うことが重要です。
具体的には、物件周辺の道路の交通量や騒音レベルを確認しましょう。
幹線道路や交通量の多い道路に面している場合は、車の走行音やクラクションなどが騒音問題となる可能性があります。
同様に、線路や空港が近い場合も、電車や飛行機の騒音に注意が必要です。
また、工場や商業施設、学校や公園なども騒音源になる可能性があります。
日中だけでなく、早朝や夜間の騒音レベルも確認しておくと安心です。
騒音に不安がある場合は、静かな住宅街や閑静な環境にある物件を選ぶことを検討しましょう。
内見時に壁に耳を当てて聞こえ方を確認する
軽量鉄骨造の物件では、内見時に壁に耳を当てて周囲の音の聞こえ方をチェックすることが重要です。
特に、隣接する部屋や共用部分(廊下など)との間の壁に注目し、生活音や話し声がどの程度聞こえるのかを確認しましょう。
壁に耳を近づけてもほとんど音が聞こえない場合は、防音性が高いと期待できます。
反対に、話し声やテレビの音、足音などがはっきりと聞こえる場合は、防音対策が不十分な可能性があります。
家の中にいる状態で共用部分の話声が聞こえる確認する
内見時は、実際に部屋の中にいる状態で、共用部分からどの程度の音声が聞こえるのかを確認するようにしましょう。
具体的には、玄関ドアの外や、ベランダ、窓際に立って音を聞いてみましょう。
もし可能であれば、不動産会社の担当者の方に協力してもらい、階段や廊下を歩く音、ドアの開け閉め音を実際に発生してもらうと、よりリアルな騒音レベルを体感できます。
軽量鉄骨造は音が伝わりやすい構造であるため、共用部分の音漏れは深刻な問題になりかねません。
特に、話し声や足音など、日常生活で発生する音は、たとえ小さな音であっても、ストレスの原因となる可能性があります。
防音性を高めるために自分でできること
軽量鉄骨造の住宅で、より快適に過ごすためには、防音対策は自分でできる範囲でできることから取り組むことが大切です。
簡単にできる2つの対策をご紹介します。
防音シートを活用する
軽量鉄骨造の住宅で、比較的簡単にできる防音対策として、防音シートの活用が挙げられます。
防音シートは、壁や床に貼り付けることで音を吸収し、音の伝わりを軽減する効果があります。
防音シートには、さまざまな素材や厚さ、大きさのものがあります。
そのため、設置場所や目的、予算に合わせて適切なものを選ぶことが重要です。
例えば、隣室からの話し声が気になる場合は、壁に厚手の防音シートを貼ることで、音を遮断することができます。
また、階下への足音が気になる場合は、床に衝撃音を吸収する効果の高い防音シートを敷くことで、音を軽減できます。
防音シートは、ホームセンターやインターネット通販などで手軽に購入できます。
DIY初心者の方でも、比較的簡単に施工できるのもメリットです。
防音シートを選ぶ際には、遮音性能を表す「D値」という数値を参考にすると良いでしょう。
D値は数値が大きいほど遮音性能が高く、より効果的に音を遮断できます。
防音シートと合わせて、吸音効果のある素材と組み合わせることで、より効果的に防音対策を行うことができます。
防音マットを設置する
防音対策として手軽に取り入れられるのが、防音マットの設置です。
防音マットは床に敷くことで、階下への生活音を軽減したり、外部からの騒音を和らげたりする効果があります。
特に軽量鉄骨造は床の遮音性が低い場合があるので、防音マットを敷くことで床の衝撃音を吸収し、階下への騒音対策に効果が期待できます。
防音マットは様々な素材や厚さ、大きさのものが販売されています。
用途や設置場所に合ったものを選びましょう。
例えば、子供が走り回る音が気になる場合は、衝撃吸収性に優れたEVA樹脂製のマットがおすすめですし、ピアノや楽器の演奏時の振動を抑えたい場合は、高密度のゴム製やウレタン製のマットが効果的です。
まとめ
軽量鉄骨造の住宅は、木造住宅よりも耐火性や耐震性に優れ、価格も比較的安いというメリットがあります。
一方で、断熱性や通気性が低い、鉄筋コンクリート造に比べると防音性が劣るといったデメリットも存在します。
軽量鉄骨造の住宅に住むことを検討する際は、メリット・デメリットをよく理解し、騒音対策を事前に講じることが大切です。