敷金・礼金とは?それぞれの違いや相場、トラブルの事例をご紹介
賃貸物件を契約する際の初期費用としてよく見る敷金や礼金について、よくわからないという方もいらっしゃるかと思います。
これから引っ越しを検討している人も気になる初期費用として、本記事では敷金と礼金について、それぞれの違いや相場、トラブルの事例をご紹介していきます。
目次
賃貸契約の初期費用である敷金や礼金とは
敷金や礼金は、賃貸契約の初期費用のひとつとしてよく知られていますが、詳しくはわからないという方もいらっしゃるかと思います。
また、一部のエリアでは敷金や礼金が設けられず、代わりに保証金などが設定されていることもあります。
敷金や礼金とはそれぞれどういったものであるか、違いについても見ていきましょう。
敷金とは
敷金とは、賃貸物件を借りる際、貸主側に預ける担保の意味合いを持つ預け金のようなものを指します。
預け金であるため、退去時に家賃の未払いや原状回復費用が発生していなければ、全額返金されることもあるのが敷金の特徴です。
原状回復が必要な場合は、敷金から原状回復にかかった費用を差し引いて、残った分だけ退去時に返金されます。
これまで敷金は、退去時の修繕に使用すると認識している方もいらっしゃったかと思いますが、2020年の民法改正により、民法第622条の2にて、通常の生活を送る上で発生した損傷においては原状回復を行う義務はないと明記されるようになりました。
通常の生活を送る上で発生する損傷の例としては、家電の電気ヤケや家具の設置による床のへこみなどが挙げられます。
しかし、タバコやペットの飼育によるニオイや汚れといった損傷は、原状回復の義務を負う対象ですので、敷金から差し引かれてしまうため注意しましょう。
礼金とは
礼金とは、賃貸契約を行う上で貸主側に対して謝礼の意味合いで支払う費用を指します。
あくまでお礼金であるため、退去時などに返金されることはありません。
礼金の始まりには諸説ありますが、賃貸物件が少なかった時に貸してくれたことに対してのお礼として支払ったことが、礼金の始まりとされております。
賃貸物件が少ないといったことがない現在でも、根強くその習慣が残っているエリアも多いと言えます。
敷金と礼金の違い
敷金と礼金の違いについてわかりやすいように表で簡単にまとめておきます。
種別 | 内容 |
---|---|
敷金 | 貸主側に預ける担保、預け金のようなもの
原状回復の必要がなければ退去時に全額返金される |
礼金 | 貸主側に対するお礼金のようなもの
返金されることは無い |
敷金と礼金の相場
敷金や礼金は貸主側がある程度自由に決めることができ、もちろん地域差があるものの、1~2ヶ月分で設定している場合がほとんどであると言えるでしょう。
しかし、ファミリー向けの賃貸物件やペットを飼う場合には、少し高めに設定されている傾向にあり、2~3ヶ月分に設定されていることもあります。
反対に、敷金や礼金といった初期費用をどちらも0円に設定している「ゼロゼロ物件」も存在しています。
敷金・礼金ゼロのゼロゼロ物件
敷金や礼金が0円に設定された賃貸物件、いわゆるゼロゼロ物件というものがありますが、初期費用を抑えられることからも注目されやすい傾向にあると言えます。
ゼロゼロ物件を掲載できるのには理由があり、例えば築年数や設備が古かったり、人気のエリアから少し外れていたりといったことが挙げられます。
人気のエリアや利便性は二の次で、とにかく初期費用を抑えたいといった方に人気の賃貸物件です。
しかし、それなりに理由があることも多いため、ゼロゼロ物件で検討している方は内見を行い、なぜゼロゼロ物件なのか確認しておくことが大切です。
初期費用を抑えることができるという理由から注目されているゼロゼロ物件でも、全く初期費用が発生しないという訳ではありません。
ゼロゼロ物件と言っても、物件によっては退去時に発生するクリーニング費用が入居時に求められることがあり、その相場は家賃の1ヶ月分程度であることが多い傾向にあります。
また、敷金も0円ということは、退去時に原状回復が必要な場合に、別途で原状回復費用を支払う必要があるため注意しましょう。
注意が必要な敷金に関するトラブル事例
敷金は返金されることがあるため、その返金費用などをもとにトラブルが発生することがあります。
ここからは、敷金に関するトラブル事例を一部ご紹介しますので見ていきましょう。
退去時のクリーニング費用
退去時のクリーニング費用が、敷金から差し引かれて返金されるケースがあります。
通常は貸主側が退去時のクリーニング費用を出しますが、契約書の内容によってはクリーニング費用が借主負担で発生する可能性があります。
また、契約書の内容にもよりますが、どれだけ入居時に近い状態まで自分で清掃していたとしても、クリーニング費用が発生してしまうこともあるため、退去時には契約書の確認もしておきましょう。
このようなトラブルに巻き込まれないためには、契約前にしっかりと各契約書に目を通しておき、不明点は契約前に確認しておくことが大切です。
違約金が設定されている
ゼロゼロ物件などで見かけられるトラブル事例として、違約金が設定されているケースがあります。
ゼロゼロ物件など、敷金が0円に設定されている場合、担保が無いことと同じであるため、貸主側にとってはリスクが大きいものであるとも言えます。
初期費用を割安にしている分、短期間での退去は貸主側が赤字になってしまう理由にもなることから、違約金が設定されていることもあるため注意が必要です。
ただし、違約金を設ける場合は、賃貸借契約書と重要事項説明書に記載し説明することが貸主側に義務付けられており、事前に知らされるものであることから、短期間で退去の可能性がある場合は慎重に選ぶと良いでしょう。
トラブルにならないように、契約時の書類や説明はしっかりと確認しておくことが大切です。
鍵交換費用の相場が高く設定されている
こちらもゼロゼロ物件などの初期費用を抑えている物件で見かけられるトラブル事例ですが、鍵交換費用の相場が高めに設定されているケースがあります。
通常、借主側が入居時に鍵の交換を行います。
鍵のタイプにもよりますが、1~3万円程度が相場である鍵交換の費用が相場よりも高めに設定されていることもあるため、事前にどれくらい必要なのか確認しておくことも大切です。
契約時には敷金や礼金の安さだけにこだわらない
賃貸物件を費用を抑えて選ぶ際には、敷金や礼金がゼロに設定されているゼロゼロ物件だけに目を付けるのではなく、総合的に判断することが大切です。
その中でも敷金は担保の役割を持ち、返金されることもあるため、ある程度は許容しても良いものと考えましょう。
とは言え、初期費用の予算によっては敷金も0円に設定されている賃貸物件を選びたいということもあります。
初期費用が低い物件は違約金が設定されていたり、その他に必要な費用が相場よりも少し高く設定されていることもあるため、初期費用を抑えたい場合はこのようなポイントを押さえておくようにしましょう。
契約内容をしっかりと理解した上で、自分に合った物件を契約することが大切です。
まとめ
本記事では、敷金と礼金それぞれの違いや相場、トラブルの事例についてご紹介しました。
敷金とは、貸主側に預ける担保の意味合いを持つ、預け金のようなものを指すため、家賃の未払いや原状回復費用が発生していなければ、退去時に全額返金されることもあります。
一方で、礼金は貸主側に対して謝礼の意味合いで支払う費用を指すため、退去時などに返金されることが無いのが特徴です。
ファミリー向けやペット可など、条件によっては2~3ヶ月分に設定されていることもありますが、一般的にはそれぞれ家賃の1ヶ月分程度に設定されています。
賃貸物件の中には、「ゼロゼロ物件」と呼ばれる、敷金や礼金を0円に設定している物件もあり、初期費用を抑えられることから人気もありますが、人気エリアには無かったり、設備が古かったり、初期費用以外が相場よりも高めに設定されていることもあるため注意が必要です。
敷金や礼金が0円に設定されているゼロゼロ物件だけに目を付けるのではなく、賃貸物件を選ぶ際には、総合的に判断するようにしましょう。